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普段ただ生活していただけではあまり気にはならないが、時々見せるクラトスの表情がロイドは苦手であった。
「ロイド…」 そう言ってロイドの頬に付いた泥を拭う武骨な手はまるで壊れ物を扱うように優しい。 「泥がついていた」 「…あぁ、サンキュー、クラトス」 見上げた顔には慈しむような色が浮かんでいる。すっと細められた目はどこまでも優しく深い。 その目を直視した瞬間ロイドは戦慄した。 なんて深い愛を感じさせる目だろうか。ロイドはクラトスのこの顔が苦手だった。 別に目をかけられるのが嫌なのではない、むしろ照れはするが嬉しいと感じていた。 しかし時々恐ろしくなるのだ。この深い愛が。 「どうしたのだ?」 急に俯き黙ってしまったロイドを怪訝に思ったクラトスはそう問いかけた。問いかける声色はどこまでも優しい。 「…いや、なんでもない。」 「そうか。」 明らかになにかあるような態度だったが、クラトスは追求しなかった。そんなクラトスにロイドは罪悪感が募った。 (…ごめん。クラトス) ロイドはそう心の中で呟くとキツく拳を握った。 あとがき ロイドくんは四千年も生きているクラトスの一人息子だから、そりゃぁ、クラトスからの愛は深いだろうなと しかも唯一の希望…重いよ!愛が重いよ!(笑) ロイドくんだって多少戸惑っちゃうよね…いや、どんとこいな男前なロイドくんもいいけどね! PR |
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ゼロスは剣の手入れをしているロイドの背中を見つめた。
案外華奢な背中であった。 常にパーティーの前衛で戦う彼は良く言えば勇ましく、悪く言えば無鉄砲でなんとなくもっとがっしりしたイメージであったのに。 (そういえばこいつはまだ17歳の子供だったな) 彼のすべてを受け入れてくれる強さのせいで彼が子供であることをすっかり忘れていたのだ。 幼い頃からコレットやジーニアスと共に育ってきた彼のことだ、庇護される立場であったのは僅な期間であっただろう。 「ロイド!」 いいことを思いついたとばかりに満面の笑みを浮かべてゼロスは目の前の彼を呼んだ。 「…なんだよ?」 ゼロスの突然の呼び掛けにロイドは怪訝そうに振り返ると腕を広げて笑うゼロスを見て顔をしかめた。 「…なんのつもりだ?」 「なにってロイドくん!見てわかんねーの?」 「分かんないから聞いてるんだよ…」 するとゼロスは広げていた手で胡座をかいた足をポンポンとたたいた。 「この優しいゼロス様がロイドくんを甘やかしてやるってんだよ」 「はぁ?」 ゼロスは呆れ顔で再び剣の手入れをしようとするロイドの腕をぐいっと引っ張ると、そのまま腕の中へ閉じ込めた。 「なっ!危ないだろ!つうか、はーなーせー!」 顔を彼の嫌いなトマトみたいに真っ赤にして抵抗するのをより強い力で抱き留めると、始めから本気で抵抗していた訳ではなかったロイドは大人しくなった。 「ほらほら、もっと甘えてもいいのだよ、ロイドくん」 そう言いながら、彼のまろやかな額に口付けると、ギリギリ聞き取れるか聞き取れないかの小声で「ばかやろっ」と呟いたロイドは、ぎゅうとゼロスの服を握った。 彼の精一杯の甘えを見て嬉しくなったゼロスはもう一つ額にキスを落とした。 あとがき ロイド×萌=∞ むしろロイド=萌(笑) |
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髪をすく優しい手の動きにロイドは意識を浮上させた。
(…気持ちいい) 規則的に繰り返されるその動作は心地よく、ロイドは目を閉じたまま暫くされるがままになっていた。 その内、髪をすいていた手はするりと下がり頬に添えられた。 大きく無骨な手だ。 「…ロイド、起きているのだろう?」 温かい手の心地よさに再び微睡み始めていたロイドは低く優しい声に応えるように薄く目をあけた。 「ん、クラトス…」 名前を呼ばれた男は嬉しそうにその精悍な顔に微笑を浮かべた。 クラトスが、余りにもいとおしそうに見詰めてくるものだから、段々と恥ずかしくなったロイドはまるで甘えるようにクラトスの手に頬をすりよせ顔を逸らした。そんな仕草さえもいとおしいのか、クラトスは笑みを深め、ロイドの額に軽く口付けを落とす。 「…起こしてしまってすまなかった。夜が空けるまで時間がある。このまま寝ていなさい。」 「…うん」 近くに愛しい人を感じながら再びロイドは目を閉じた。 あとがき 普段恥ずかしくて甘えられないロイドくんも眠かったら甘えられるよね! なんというか、クラトスの愛は深そうです。4000年生きてるし(笑) 孫を可愛がるような?目に入れても痛くない的な? これ、ただの親子でもありですね |
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ふと、彼のことを思い出した。
決して忘れていた訳ではないが、エクスフィア回収という酷しい旅のなかで、ゆっくりと過去を省みる時間がなかったのも事実だ。 今ロイドはゼロスと二人旅をしている。神子制度廃止が決定になりずいぶん自由に行動できるようになったのだ。心なしかゼロスの表情も穏やかになったようだ。 そして今日、彼等はロイドの家と帰って来ていた。レアバードがあるといっても、なかなかゆっくと時間がとれないため久々の帰省だ。 (ただいま、母さん) ロイドが母の墓前にいるとき決まってゼロスはどこかにいってしまう。彼なりの気遣いなのかもしれない。 (…クラトス) 心のなかで呟いた。 酷く懐かしい気持ちに胸がつまった。 彼はいない。 遥か彼方宇宙へ旅立ってしまった。もう二度と会うことはできないだろう。 彼を見送ったことを後悔したくはなかった。 それでも時々思うのだ、彼のことをもっと知りたかったと。 4000年という途方もない時間で、過ごしたのは一瞬でしかなかった。 (ははは、…こんなに悩むなんて俺らしくないな) ロイドは冷静な頭で思った。 彼は大人になった。 目標となる人をみつけて 辛いことを乗り越えて どうにもならない現実を目の当たりにして それでも頑張らなければどうにもならないことを知って。 ふわりと、温かい腕に抱きすくめられた。 「ロイドくんがあんまりにも遅いから、迎えに来てやったぜ、俺様もうお腹ペコペコー」 「っゼロス…」 ロイドは驚いて後ろを振り返った。 「なに泣きそうな顔してんだー?ったく、特別に麗しのゼロス様の胸を貸してやるから。」 そう言って今度はロイドを正面から抱き締めた。 「っう、うぅ…」 その日ロイドはゼロスの腕のなかで子供のように大泣きした。 「大丈夫だ、ロイド。俺がそばにいる。ずっとな。」 あとがき クラロイまたはクラ+ロイ風味のゼロロイでした 甘シリアスのつもりで書いたのですが、読み方を変えればヤンデレ風?(笑) |
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