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【2025/05/04 17:30 】 |
鈍感(クラロイ)
カキンッ

鋭い金属音とともにクラトスの長剣が宙を舞い地面に深く突き刺さった。

その様子に一番驚いたのはクラトスの剣を凪ぎ払った張本人であるロイドであった。
一方、クラトスは冷静なものである。いや、正しくは心ここに在らずといったところか、彼にして珍しくぼーっとしていた。
剣術指南の最中に上の空でできるというのは凄いことなのだが、その様子に気付いたロイドはキッとクラトスを睨み付けた。
「いったいどういうつもりだよ!剣術を教えてくれるあんたがそんな調子じゃ稽古にならないだろ!」

ロイドは怒っていた。クラトスから一本とれた喜びなどまったく感じていない様子で、ただ目の前に自分がいるというのに他のことに気をとられているのが許せなかったのだ。

「…すまない」

クラトスは、はっとした様子で謝った。どこか重苦しく、暗い様子である。
人の負の感情に敏感なロイドがクラトスのそんな様子を見逃すわけがなく、先程の怒りも忘れて心配そうにクラトスの顔をのぞきこんだ。

「クラトス…。あんたいったいどうしたんだよ?」

「…いや、なんでもない」

クラトスはじっと、ロイドを見つめた後目線をそらしそう言葉を濁した。

「なんでもないわけないだろ!…最近ため息も多いし」


「…気付いていたのか」

今度はクラトスも驚いて目を見開いた。


「あぁ。気がつかないわけないだろ、その…クラトスは俺の父さんなんだから、さ」

そういってロイドは苦しそうにに顔を歪めた。

(…父親か)

ロイドの言葉にクラトスは心の中で自虐的に笑った。前までは父親と認めてもらうことすら無理だと思っていたというのに。
(私はいったいこれ以上なにを求めようというのだ)


そんなクラトスの心中など知るよしもないロイドは黙ってしまったクラトスにさらに言い募った。

「俺はそんなに頼りにならないか?…そりゃぁ、クラトスに比べたらまだまだ未熟かもしれないけど…俺は、俺は…」

言いながら、ロイドは自分が泣きそうになっているのに気がついた。クラトスのことを考えるとどうも感情が強く揺さぶられてしまう。


「そうではない、ロイド…では私の気持ちを聞いてくれまいか?」


クラトスは自分を気遣う様子を見せるロイドに胸がつまる程の愛しさが込み上げてくるのを感じた。
「え?」

瞬間、ロイドの視界は濃紺に埋まった。少し低めの体温がロイドを優しく包む。クラトスに抱き締められたのだと気付くとロイドは体温が上がるのを感じた。

「ロイド…」

「な、なんだよ」

ロイドはクラトスの手を振り払うことも出来ず、クラトスの腕の中で固まっていた。そんなロイドを安心させるようにクラトスの手が優しく背中をさすった。子供扱いされているようで、ロイドは一瞬むっとするが、あやすような手の心地よさにほっと息をついた。その様子を見ていたクラトスは柔らかく目尻をさげた。ロイドはうつ向いてしまっているためクラトスの表情を見ることはできなかったが、彼は今いままで誰も見たことがないような優しい顔をしていた。いや、あるいは今は亡き妻アンナだけが見たことがあるような。


「愛している」


ロイドが驚きで顔を上げると男の優しいけれど熱っぽい目とぶつかった。


「…っ、それはっ!俺だって父さんのこと」

「息子としてではない、一人の人間としてだ。」

クラトスは畳み掛けるように言葉を重ねた。

「それって…?」

人の気持ちに鋭いのに恋愛方面ではまったくの鈍感になるロイドにクラトスは思わず苦笑をうかべた。そんなところすら愛しいと思ってしまう自分はなかなか末期なのだろう。

ちゅ

柔らかな感触がロイドの唇を掠めた。

「まだわからないか?」

すぐ近くにクラトスの顔がある。かっとロイドの顔が紅く染まった。

(クラトスにキスされた…!!)

じっと熱い視線を向けてくるクラトスに、ロイドは居たたまれなくなりふいと顔を背けようとするがクラトスの手がそれを許さない。背中に回されていたクラトスの手は今はロイドの顔を包み込むように頬に添えられていた。

「私を見てくれ。」

なおもじっと見つめられ耐えられなくなったロイドはクラトスの目を真っ直ぐに睨むとまくし立てた。

「…わかったから!そんなに見つめるなよ。あ、愛してるとかいきなり言われても俺、よくわかんねぇよ!」

そして、自分の顔を包む手をやんわりと掴み、降ろさせ自らクラトスに顔を近づけた。

ちゅ

「…でも、キスはいやじゃなかったぜ。」

そう言い照れたようににかっと笑うと、くるりと後ろを向き物凄いスピードで走り去っていった。





クラトスはと言うと、ロイドからの嬉しすぎる不意打ちにフリーズしていた。

あとがき
真面目に書きたいのかギャグなのか…(笑)
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【2010/11/05 18:29 】 | TOS小説(BL) | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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