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彼は自分の血で紅く染まった大地に崩れ落ちた。
『誰もが救いを求めているわけではない』 何時だったか、誰かが言った言葉がゼロスの頭をよぎった。コレットは地に伏した少年に駆け寄った。ジーニアスは目の前の状況に震えていた。 「…ロイド!お願い目を開けて!」 コレットはまだ温もりのあるロイドの手をにぎった。この温かさが失われることを思うと、コレットはどうしよもなくなり堪えていた涙が頬を伝った。 「…っコレット、か…?」 ロイドは弱々しく息を吐き出した。目を開ける力もないのか瞳は閉じられたまま、顔だけをコレットの声がする方に向けた。 「うんっ、私だよ…」 コレットは必死にロイドの手を握りしめた。そうしなければロイドは今にも消えてしまいそうなくらい危うかった。 「ははっ…かっこわりぃな。…コレット、最後まで一緒に…いられなくて、ごめん…な」 ロイドは弱々しくも優しい声色でコレットに語りかけた。言い終わったあとにコレットの手を優しく握り返すと、ふっとロイドの腕から力が抜けた。コレットは信じられない思い出それを感じていた。あの強かった彼が、自分に生きる価値をくれた彼が、もう自分に微笑みかけることはないのだ。温もりを感じることももうできない。胸に今まで感じたことのないどうしようもない深く暗い思いが広がった。 辺りは静かだった。つい先程まであった憎しみや怒りのまざった喧騒は、一人の少年の死によって跡形もなく消え去っていた。そう、彼に敵意を向けていた人々ですら沈黙していたのだ。 コレットは振り返った。 そこにはいつの間にか近くに来ていた、ゼロスとジーニアスがいた。二人とも暗い目をしていた。たぶん私も今同じ目をしている。コレットはそう思った。 「…もういらない。ロイドがいないこんな世界もういらないよ…」 コレットは天使化した時のような無表情で二人を見つめた。 「…ああ、そうだな」 ゼロスは感情のこもらない声でそういった。 「人間なんて…汚いっ」 ジーニアスは怒りに声を震わせながら言葉を吐き出した。三人には最果てが見えていた。ミトスが見た最果てが。それと同時に、ロイドがそんなことのぞまないことも痛いほど分かっていた。 (でもね、ロイド…皆がそんな強いわけじゃないんだよ…私もつよくなんてないみたい…) (ロイド…これで終りだ。光は失われた。…永遠にな。) (みんな、みんな居なくなっちゃえばいいんだ…!) |
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